警備会社におけるコミュニケーションのあり方

皆さんの会社は、コミュニケーションが充実していますか?
アメリカの経営学者チェスター・バーナード(1886年~1961年)が提唱した組織論の中で、「コミュニケーション」「貢献意欲」「共通の目標」の3つから成立するもので、どれか一つが欠けても組織不全になると定義しています。

それではバーナードが言う『コミュニケーション』とはどういったものでしょう。
コミュニケーションとは、組織内の従業員同士で情報を共有し、意思の疎通を図ることをいいます。
コミュニケーションが構築されていない組織はトラブルが発生しても発見が遅く、迅速に対応することが出来ない為に問題がますます大きくなる可能性があります。
またコミュニケーション不足の組織は従業員にとっても働き辛く、業務を効率的に進めにくくなります。
その結果、組織内の生産性の低下や離職率が高止まりするという事態を招きます。
そういった状況を回避、改善する為に企業は従業員同士、また部門の壁を超えたコミュニケーションの活性化を追求することが求められます。

多くの警備会社は現場で働く警備員が多くの人員構成を占めるのではないでしょうか?
別の表現をするならば、現場で働く警備員が主体の業界であると言えます。
皆さんの会社において現場の隊員さんと内勤者(事業所幹部や営業・管制など)、また小規模な警備会社であるならば経営陣と隊員さんはしっかりコミュニケーションがとれているでしょうか?

多くの警備会社において、隊員さんは直行・直帰のケースが多いと思います。
そうすると必然的に同一現場の隊員さん同士は別として、それ以外の対面でのコミュニケーションの場は限られたものとなるのが実状ではないでしょうか。

そう仮定するとその限られた対面の場において、いかに充実したコミュニケーションを図るかが重要となってきます。
それが現在、注目されている『心理的安全性』であり、心理的安全性が高い組織とは自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態を示します
・こんなことを聞いて、無知と思われないだろうか
・こんなことを言って、馬鹿だと思われないだろうか
・そもそも自分の発言に耳を傾けてもらえる組織だろうか

こういったネガティブな感情を組織構成員が感じることなく忌憚無く発言し、またそれを受け入れられる企業文化こそが、『心理的安全性』が高い組織です。
1人の隊員さん(社員)からの意見や提言だからといって、軽く流していたりしませんか?
その意見や提言が良い悪いは別として、まずは真摯に向き合うことが大切です。
そこに信頼関係や心理的安全性が醸成され、組織全体に広がります。

また対面でのコミュニケーションの場が少ないのであれば、積極的にコミュニケーションツールを活用すべきでしょう。
・例えば経営陣や幹部が動画で社員向けに企業理念やビジョンについて発信し、それについてネット上で意見交換を行う。
・四半期に1度はワークエンゲージメントに関する社内アンケートを実施し、その結果を社内で共有した上で、より良い組織構築を全社で考える。

そこに部門や職制の違いは関係なく良いものは積極的に取り入れ、改善すべき点は改善する。
それこそが真のコミュニケーションではないでしょうか?
日本では就労人口が今後急激に減少します。
現時点においても人手不足が顕著な警備業界は、今後ますます厳しい時代に突入することは間違いないでしょう。

そうなった時に躍進できる警備会社、淘汰される警備会社がより鮮明となります。
前者となれるように、コミュニケーションを充実させていきたいと強く思っています。