令和5年度の設計労務単価について

皆さん、こんにちは。
今回は今更ながら令和5年度の設計労務単価について書こうと思います。

公共工事設計労務単価は農林水産省や国土交通省が所管する公共工事等に従事した建設労働者の賃金等の実態を調査し、その結果に基づいて決定されるものです。

令和5年度の労務単価は全国全職種単純平均で前年度比5.2%引き上げられることになります。

これは建設業界の人手不足やコロナ禍の影響を考慮したもので、11年連続の引き上げとなります。

また伸び率が5%を超えるのは9年ぶりとなります。

 

なお令和5年度の公共工事設計労務単価では

交通誘導警備員A(国家資格である交通誘導警備業務検定1級若しくは2級の有資格者)15,967円と令和4年度比+7.1%となっています。

また交通誘導警備員B (交通誘導警備員Aに該当しない警備員)13,814円と令和4年度比+6.3%となっております。

警備業界の人手不足等、コスト増等が考慮されてか交通誘導警備員の労務単価は、全職種単純平均の前年比+5.2%よりも大き上昇しています。

 

◎「公共工事設計労務単価」と「雇用に伴う必要経費」の関係

  • 労働者本人が受け取るべき賃金を基に、日額換算値(所定内労働時間8時間)として労務単価を設定 ⇒ 例えば、日給制の労働者が受け取る日当よりも広い概念。法定福利費も全額反映
  • 労務単価には、事業主が負担すべき必要経費(法定福利費、安全管理費等)は含まれていない。
  • 事業主が下請代金に必要経費分を計上しない、又は下請代金から必要経費を値引くことは不当行為

※国土交通省 『令和5年3月から適用する公共工事設計労務単価について』 資料3より

https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001587029.pdf

 

設計労務単価は労働者本人が受け取るべき賃金 (≒労務単価)です。

その中身としては

基本給相当額(日額相当)、基準内手当(日額相当)臨時の給与の日額換算(賞与等)、実物給与(食事等)であり、超過勤務手当等(残業代等)は含まれません。

 

この他に事業主が 支払う必要経費と利益を含めたものが設計労務単価をベースとした『警備料金』となります。

必要経費には法定福利費 (事業主負担分)労務管理費等、現場作業にかかる経費 (安全管理費等) があり、目安として41%が挙げられています。

つまり

交通誘導員Aの場合、設計労務単価が15,967円なので22,513円

交通誘導員Bの場合、設計労務単価が13,814円なので19,478円

これが、事業主が労働者一人の雇用に必要な経費となることに留意が必要です。

 

但し警備料金は設計労務単価だけで決まるわけではありません。

実際には各警備会社と発注者との交渉や契約によって変動します。

また警備業務の内容や規模、時間帯や地域、更には繁閑の状況等によっても異なります。

しかし、設計労務単価の上昇は警備業界のコスト増、人手不足等を如実に表しているものとも言えます。

一概には言えませんが、『警備料金』は労務単価の変更を踏まえて見直す必要があるでしょう。

 

発注者目線で言うなら、警備というサービス品質そのものが上がっていないのに、警備料金を上げられるか!というのが本音だと思います。

警備会社としてはしっかりと価格転嫁させる為に、より警備員の指導体制やフォロー体制を強化し、また付加価値を追求していく必要性がありますね。

 

毎度のことながら自戒の念を込めて。