警備員は誰でも出来る簡単な仕事なの?

暑くなって来ましたね!
私達、警備に携わる者にとって、最も厳しい時期が間近に迫っています。
さて、よくネットの世界では、警備員を『誰にでも出来る簡単な仕事』、『シニア世代の仕事であって、若い人の仕事ではない』等という意見を目にすることがあります。

本当にそうなのでしょうか?

確かに警備業界は中小零細企業が多く、また華やかなイメージも無いので、就職活動をする学生にとって世間一般で言うところの人気企業とは程遠い業界かも知れません。
またシニア世代の方が多く活躍している業界であることも間違いなく、『令和元年度警備業概況』によると、警備員の世代別割合では44.7%が60歳以上となっています。

逆に若い世代に目を向けると、30歳未満の割合は10%という低さです。
こういったことが世間で誤解されがちな要因なのではないかと思っています。

それでは本当に『誰でも出来る簡単な仕事』なのでしょうか?
つい最近までTVドラマで『ドラゴン桜』が高い視聴率を得ていましたが、勿論東大をはじめ一流大学を出ないと就けない仕事ではありません。

それどころか学歴は殆ど警備員という仕事に関係無いと私は考えています。
やっぱり誰でも警備員になれるのでは?と思う方もいるかと思いますが、それは違います。

まず警備業法第14条において、警備員の欠格事項が定められています。
これそのものは多くの方が問題無くパス出来る類のものではありますが、警備員として働けない方も一定数いることは間違いありません。
先ず警備の現場に立つにあたり、新任教育という配属前の教育を20時間以上受けることが定められています。

また現職の警備員については年度毎に10時間以上の教育を受けることが定められています。
その他にも各警備会社において警備員としての資質の維持向上を目指して、様々な教育が行われています。
『明日からこの棒(誘導灯)を持って、事故が無い様に誘導してね!』
『明日からこの施設で人の出入をチェックしてね!』
というノリの業界で無いことは確かです。

とは言っても、ここまでは多くの方がクリア出来て、警備の現場に立つことは出来るでしょう。
問題はその後です。
警備員と一言で言っても、実は色々な仕事があります。
例えば弊社が手掛ける業務は主に交通誘導、施設警備、各種イベント時の雑踏警備です。

交通誘導であれば通行車輌や工事車輌、そして歩行者や自転車の安全を担保しないといけません。

また自分自身が事故の被害者にならない様に、刻一刻と変わる状況を見極め、誘導にあたることは当然ですが、またその協力を得られる様に通行される方々とのコミュニケーションが必要となってきます。
施設警備であればお取引先様の施設内において事件・事故が起きない様に細心の注意を払いながら施設内の異常に目を光らせ、業務を遂行しないといけません。
イベント時の雑踏警備においては人の流れや混み具合を把握し、また危険箇所を予測しながら同僚警備員と緊密な連携の下で、来場されるお客様の安全を担保しないといけません。

どの業務をとっても、『誰でも出来る簡単な仕事』ではありません。
高い倫理観と責任感が問われる仕事なのです。
確かに警備員という仕事は人が羨む程の高給を得たり、また若い世代の方が憧れを持って見る様な華のある仕事ではないと思います。
しかし、人や組織の安全や財産を守る為になくてはならない仕事であることは確かです。

もっと業界や警備会社各社、そして何より警備員として働く個人個人が、自分達の仕事に高いプライドと向上心を持ち、より魅力が伝わり易い業界、会社にしていくことが肝心だと思います。
そうすることで、これからの社会を支える若い世代の方々に警備という仕事に目を向けてもらい、そして若い力と共に発展していくことを願っています。