警備員の人材育成について考える

皆さん、こんにちは。
今回は現職で警備業界勤務の方、警備業界に関心のある皆さんと一緒に、警備員の人材育成について考えてみたいと思います。
警備業界では近年、人手不足が深刻な問題となっています。
それは警備員の高齢化や離職率の高さ、賃金や待遇の低さ、仕事内容やイメージの悪さなどが原因として挙げられると感じています。
このような状況を改善するためには、当然AIやロボット活用といった技術革新だけでなく、人材育成にも力を入れる必要があります。

それでは、具体的にどのような人材育成が必要でしょうか?
私は以下の3点が重要だと考えます。

① 警備員に対するキャリアパスやスキルアップ支援
②警備員に対する評価制度や表彰制度
③警備員に対する賃金や待遇の改善

それでは、それぞれ詳しく見ていきましょう。

~キャリアパスやスキルアップ支援~
まず始めに重要なことは、警備員に対するキャリアパスやスキルアップ支援です。
警備業界では、「一生現場」というイメージが強くあります。
しかし、それでは将来性や自己実現感を感じられません。

そこで、
①管理職への昇進や異動の機会
②警備業務検定を始め、業務関連資格や専門知識の取得支援
③研修やセミナーなどの教育機会
等をしっかりと会社が準備・提供することが必要です。
これらは警備員が自分の能力や可能性を伸ばせるだけでなく、業務の質や効率も向上させる効果があります。


~評価制度や表彰制度~
次に重要なことは、警備員に対する評価制度や表彰制度です。
警備という仕事は一般的に、目立たない地味な仕事である場合が少なくありません。
しかし、それだからこそ、警備員の努力や成果を見逃さずに評価することが必要なのです。
そこで、
① 警備員の資格や職業能力に応じた評価基準の設定
②警備員の業務遂行状況やお客様からのフィードバックの収集
③警備員の賃金や昇進などに反映させる評価システムの導入
などを行うことが必要です。

また、
① 警備業務や安全管理などで優秀な活動を実行した警備員に対する表彰
②表彰者への賞金や記念品などの贈呈
③表彰者の活動内容や功績を社内広報誌やウェブサイトなどで紹介
などを行うことも必要です。
これらは警備員が自分の仕事に誇りや自信を持てるだけでなく、他の警備員への刺激やモデルケースとなる効果も期待できます。

~賃金や待遇の改善~
警備員は社会的に重要な役割を担っています。
交通誘導や施設警備など、私たちの生活や安全を守ってくれる存在です。
しかし、その一方で、警備員の賃金や待遇は決して高くありません。
例えば、地方の交通誘導警備員・雑踏警備員の平均年収は約220万円~260万円程度です。
日当は多くが8000~10000円程度です。
これでは、若い世代や女性などが警備業界に興味を持つことは難しいでしょう。
そこで賃金や待遇を改善することも必要です。

具体的には
① 時給、日給制から月給制への移行
②交通費や残業手当などの正当な支給
③社会保険や退職金制度などの整備
④有給休暇の適切な付与と消化、休日出勤手当などの付与
等が考えられます。
多くの業界の方が聞くと当たり前なのでは?と思われる内容ですが、これがしっかりとなされていない警備会社が多いことも現実問題としてあります。
またこれらは、警備員が安定した収入を得られるだけでなく、働き甲斐やモチベーションを高める効果も期待できます。

~重要なことは~
個々の努力と実績、そして適正をしっかりと見極め、適正に評価することです。
ただ給料だけ上げたところで、仕事に対する遣り甲斐も感じなければ、モチベーションも上がりません。
適正且つ平等に評価し、それについてしっかりと管理職やリーダーがフィードバックを行う。
その上でそれに見合った給料を支払うという当たり前のことが重要なのです。

何も努力せず、質の伴わない仕事ぶりなのに給料だけが上がれば、多くの人は堕落します。
反対に優秀な仕事をし、同僚や顧客から高い評価を得ているにも関わらず、役不足な仕事と見合わない給料のままでは、モチベーションも上がる訳がありません。
そのバランスが何よりも大切だと、私は思っています。